oggy

カセットテープ・ダイアリーズのoggyのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ブルーススプリングスティーンの音楽目当てで鑑賞。"badlands"の使われ方が最高で、あのシーンを見れただけでも満足なので高得点にしちゃう。

肝心のストーリーは、ちょっとベタすぎるところとかミュージカルなの?とちょっとやりすぎなところが散見されたけど、まあ王道のお話なので普通に面白かった。

一番良かったのはマットと喧嘩するシーン。人の好みを否定するなんて最低だって、本当にその通りなんだけど、ブルーススプリングスティーンに出会って、しかもその好みを肯定する人が周りにたくさんいたジャベドはある意味浮かれていて、無意識に"ブルースを好きな人"と"そうじゃない人"に二分してしまっていたのかもしれない。正直私もマットのことはパッパラパーと思ってたけど、結局俺もお前も親父には敵わないと吐き捨てるところでようやく趣味を否定された屈辱がひしひし伝わってきた。よくある"音楽性の違い"で一緒に活動することはなくなった2人だけど、その後もループスとはまた違った親友で居続けるんだろうな。

それから父親と喧嘩して車に乗るシーン。"At night we ride through mansions of glory in suicide machines"とばかりに車で鬱屈とした街を飛び出せるのは歌の中だけで、実際にはエンジンすらろくにかからない。自分の生き様を言葉にしてくれて、自分の人生を後押ししてくれるブルーススプリングスティーンの歌だけれど、そこに自分の全てがあるわけではないことを叩きつけられた瞬間だったんじゃないかな。あのシーンがあったから、最後のスピーチ、自分なりの人生の選択をしたジャベドの言葉が一層刺さるものになっていた。

全体的にベタながらもジャベドの成長が細かく描かれていて見応えがありました。
oggy

oggy