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ディエゴ・マラドーナ 二つの顔のsomaddesignのレビュー・感想・評価

4.0
追悼ディエゴ・マラドーナ
元祖・悪童はどんなに落ちても愛される不思議

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アルゼンチンの伝説的サッカー選手ディエゴ・マラドーナのドキュメント。「AMY エイミー」で第88回アカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞したイギリスのアシフ・カパディアが監督・製作総指揮を手がけ、マラドーナ本人の協力を得て製作。500時間に及ぶ未公開映像をもとに、栄光と転落を繰り返してきた天才の光と影を描き出す。

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2008年の伝記映画「マラドーナ」は未見だけど、世代的に彼の栄光と転落は知ってるつもり。

昔アルゼンチン帰りの帰国子女の知人に「アルゼンチンでマラドーナってどんな扱い?」って聞いたら、ものっそい苦笑いされた。
毀誉褒貶、浮き沈みの激しいマラドーナ。英雄として尊敬を集める反面、お騒がせセレブとして愛憎入り混じった感情で見守られてたっぽい。

波乱万丈のマラドーナの人生の中で、ナポリ時代に絞ったドキュメンタリー。サッカー界の頂点を極め、転落の始まりとなった7年間と思えば納得の切り抜き。なにしろナポリ在籍中、クラブ初のセリエA優勝を含む二度のリーグ優勝。コパ・イタリア優勝。アルゼンチン代表としてもメキシコW杯優勝、イタリアW杯準優勝と絶頂期。(神の手ゴールと伝説の5人抜きもこの頃)
一方で、酒と麻薬に溺れて色狂い。マフィアとの黒い交際や隠し子騒動もあったり、マラドーナの人生を凝縮したような光と陰の時代。

アシフ・カパディア監督がイギリス人とあってか、英雄としての神格化したマラドーナの一面より、元祖・悪童として人間的弱さに翻弄される愛おしくも卑近なディエゴの姿に焦点を絞った感じ。
今見ると肥大化した現代のサッカービジネスの光と影を凝縮してるよう。純粋にサッカーを愛し楽しんでるマラドーナと、金と欲に溺れて転落していくマラドーナの姿が表裏一体。誰にも制御不能な超巨大スポーツエンタメの

最晩年になって整形したら、ちょっとオバサンに見えるのがちょっと好き。


8本目
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