おにおに

Winnyのおにおにのネタバレレビュー・内容・結末

Winny(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

ネタバレ防止機能は使ったことがなかったのだが、これはネタバレ全開で書きたいとおもい使ってみます。


イオンシネマ川口で鑑賞。

金子勇氏とほぼほぼ同世代の70年代生まれのIT技術者です。
Winny事件はもちろん、もう会社員ばりばりで毎日しにそうになりながら仕事していたし(当時は「働き方改革」の前だったから)2ちゃんねるも毎晩みてたし、当時の空気をとっても吸っていたので、この映画を知ったときは「あーこれは観なければなー」と思ってました。

・・というのももちろんあるんですが、金子勇氏とはお会いしたことはありませんが、会社の同僚(=けっこうすごい開発者でした)が、金子勇氏が「無罪を勝ち取ってから亡くなるまでの半年間」にいたP2Pの会社に転職してけっこう活躍して、金子さんの話もそいつからすこしは聞いていたので、まぁ「知り合いの知り合い」くらいの他人ではあり、それも「観なければ」の理由にはなりました。


上映館も少なく、上映スクリーンは小さい箱で、上映時間帯も1回というマイナーな映画でしょ、「観なければ」とは思っていたけど、そこまで期待したわけでもなく。

なのですが、それくらいの期待ハードルは軽く超える良作だったと思います。パンフを買ってしまうくらいには良作だった!

終始集中して観れたし、ひっかかるところが全然なかった。


金子勇氏を演じた東出昌大さんはNHK大河ドラマ「花燃ゆ」(という自分的NHK大河ドラマ史上最低1、2を争うクソ大河)で久坂玄端を演じており、そのときの印象と、その後やらかしたアレのイメージもあって、そんなに良い印象がない俳優なのですが、好演してたとおもいます。(ただ実際の金子氏のイメージからすると少しきれいすぎイケメンすぎかもしれません)

弁護士役の方は存じ上げませんでしたが、この方も好演。
残念キャラを演じることが多い吹越満さんもとてもよかった!

法廷モノとしてもよくできてるのではないでしょうか。
セリフもかっこよく、スジ書きもよくて、普通に映画として見ておもしろかったとおもいます。

唯一しっくりこなかったのが、愛媛県警のエピがはさまってくるところでしょうか。
あれ、要ります?
まぁ、「Winnyはまさにああいうひとを救うために開発したんです!」というのを説明するためなんだろうと思いますが。
正直、そこまではWinnyはきれいじゃないんじゃないかなあとは思ったりしています。
公開したのが2ちゃんねる(「47氏」というのは、スレッドの[047]に書いたから)っていうのもあるし、正しい使い方ってどうやったらいいの、みたいなツールではあるし。

そういうのはあるんだけど、映画としては子どもの頃からコンピュータが好きで、IT技術者になったというようなひとならツボにくるであろう、っていうシーンがたくさんあって、けっこう泣きそうになりながら観ました。泣いたわけじゃないぞ泣きそうになったくらいだ。

そうだなぁ。

2ちゃんねるの有志が「47氏しぬな」って、カンパされた銀行の通帳のシーン。あれは泣くわ

拘置所の小さな窓から星空をみあげての回想シーン。子どもの頃に電気屋に通って星空をプログラミングしたっていうシーン。

だいすきなプログラミングできなくなって悶々とするシーン。
「たった2行追加するだけでできるんです!」なのにできないっていうね。そのモヤモヤ感すごいわかる・・

東出演じる金子氏のプログラムシーン、めっちゃタイプ速いw
なんの言語だかまではわかりませんでしたが、秀丸エディタですよねあれ、それでなんか本当にプログラム書いてる。
終わったらそのまま寝落ちしてしまう・・あるある(令和の時代はホワイトなのでいまはそういうことはない

弁護士のひとと未来の夢を語り合うシーン。目を輝かせながら!
自分が書いたプログラムのことを夢中で説明するシーン。目を輝かせながら!
あれはね、宇宙がだいすきで宇宙飛行士になりたい!っていうのと同じ種類のマインドですよ

そしてやっぱりいちばんはあれだ。
エンドロールでホンモノの金子勇さんが出てきて、「日本の技術者のみなさんへのメッセージ」的な編集が出てきたシーン
これはほんとうに涙があふれそうになった。


いわゆる「一般人」のひとがみてもそれほどには刺さらない映画かもしれません。
けど、刺さる種類のひとにはすごく刺さるとおもう映画でございます。

とりあえず70年代生まれのIT技術者やプログラマーのひとは観よう。自信をもっておススメできる良作です。

★は・・この手の映画でいうと「Fukushima50」よりちょい上かな?くらいの印象をもったので、4.3でお願いします!
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