ボブおじさん

Winnyのボブおじさんのレビュー・感想・評価

Winny(2023年製作の映画)
4.0
〝殺人に使われた包丁をつくった職人は逮捕されるのか〟技術者の未来と権利を守るため、権力やメディアと戦った男たちの真実の物語。

今から約20年前に実際に起こった二つの事件を実名でリアルに描くドキュメンタリータッチの映画。物語は2002年に開発されたファイル共有ソフト「Winny」をめぐる大事件を主軸に展開していく。この手の話しに疎い私だが、さすがにこの事件の事は覚えている。

ソフト開発しただけで〝著作権法違反ほう助〟なのか?事件の詳細は理解していなかったが、さすがにこの理屈には無理があるのではないかと思った記憶がある。

この事件の裁判を主軸として、同じ時期に愛媛県で起きた〝警察裏金事件〟が同時進行で描かれる。全く関連性のない 2つの事件が「Winny」によって結びついていく脚本はサスペンスとして見応えがある。

無知により得体の知れぬ物をむやみに恐れるその様は、さながら現代の魔女狩りか?
人並外れた才能と社会性の欠如を併せ持つ時代に翻弄された天才の姿を東出昌大が好演する。

日本映画に圧倒的に不足する近現代の事件を実名で描く意欲作。この手の映画はついつい応援したくなる。