こーじ

Winnyのこーじのレビュー・感想・評価

Winny(2023年製作の映画)
4.2
大昔の、なんだか曖昧な感じでいろんなことを判じていた時代ではなく、ゼロイチで白黒つけたい世の中は、この映画の頃よりも拍車がかかってると思う。
Winnyの時も『情報漏洩』『著作権侵害』の言葉だけを拾って、バッシングしていた人が少なからずいたのではないか?
「なんかよく分からんけど、自分には直接関係はないけど、よろしくない!」と考えて。
主演の東出さんのことも含めて。
わたしは、役者のプライベートなことは、心底どうでもよくて気にならないし、そもそも普段からその手のニュースは関心はもたないので、どーでもいいのだけど。実は東出さんの件も、みなさんのコメントを読んで初めて知りました笑。

Winnyの開発は、金子さんも「面白そうと思ったから作った」というようなことを言ってあります。だけど、その結果生じうるマイナス面についてをその時点で考える人ばかりになったら、新しいものって生まれにくくなるんでしょうね。
マイナスを考えるのは、よく言えば慎重さなのでしょうが、時に大きな足枷になってしまいますよね。だけど、ホワイト化がどんどん進んでいる社会の中では、何かをやろうとしたら、慎重さを持たざるをえないようで。だって、ちょっと歯車がズレたり、少数派であっても誰かに不快に感じさせてしまったら、そこから収集がつかないくらいのバッシングに晒されてしまうから。

Winnyの問題は、そういう意味で、姿を変えて、様々なところに現れているのだと思う。そして、そこで考えるのは「自分も何かの足枷になるような行動、発言、判断の一翼を、意図せずとも担っていないか?そのくせに、別の場面では、足枷をつける人を非難していないか?」ということ。
本当に自分は、天才を理解して、応援することができているか?後付けではなくて。

そんなことを考えさせられたという意味で、この映画はとても面白かった!

最高裁で無罪となったと知り安心したけど、7年…。後世の私たちが得たものの大きさと、失われたものの大きさ。どっちもえるのだろうけど、失ったものが悔やまれます。
こーじ

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