サメガミ

音楽のサメガミのレビュー・感想・評価

音楽(2019年製作の映画)
3.7
極上の3分間を観る映画

主人公のけんじ率いる3人組はヤンキーとして周りに恐れられていたが、顔は無表情でどこか物足りない学校生活を送っていた。
ふとしたきっかけで音楽と出会い、3人でバンドを組む。3人組の同級生たちは彼らの音楽を賞賛していたが、正直言って単調で何か物足りない音楽だった。熱く熱く練習するような展開かと思ったらそうでもない。
終盤まで音楽に変化はなく、しまいにはけんじが飽きてしまうという展開。
どう終わるのかと心配になったが、
主人公の無表情、音楽の単調さ、3人組の覇気のない感じ、これら全てが最後の3分間のために敢えて演出してるのだと感じた。
3分間の演奏中の熱の入った作画、足りなかった音楽が補われ最後のパズルのピースがハマるような快感、一瞬見せる主人公の顔の綻びと声の高揚感。
映画に対するフラストレーションが一気に解消されて、パーツの揃った音楽が持つパワーの偉大さに鳥肌がたった。