一時ブラジル音楽にハマってたりしたことがあって(主にカエターノ・ヴェローゾだけれど)ジョアンジルベルトのアルバムやマルコス・ヴァーリのアルバムも数枚持っている。
これはジョアン・ジルベルトを全く知らない人にはあまり面白くないのかなとかちょっと思ってしまった。
ブラジルのボサノバミュージシャン、ジョアン・ジルベルトに会うためにブラジルを彷徨い歩いたドイツ人ライターマーク・フィッシャーの著作をこの映画の監督、ガシュ監督が読んで作られた映画。ガシュ監督自信がジョアンジルベルトを、探すべくマーク・フィッシャーの旅をなぞって行く。彼の料理を届けていたシェフ、彼の髪を切っている理髪師、彼の妻、彼の昔の友人、なんと電話で話しただけのマルコス・ヴァーリなど。
捕まえられるとおもったらフワッと飛び立つ蝶の様だなと思った。
そしてこの作品はジョアンジルベルトを探しているのではなくてマーク・フィッシャー自身の内面を旅する作品なんだと気づいた。綴られる彼の言葉がとても良い。
そんな事を思っているうちにもしもマーク・フィッシャーが架空の人物だったとしたら監督が創作した人物だったとしたらと妄想させられてクラクラする想いになったりした。(多分それはないんだと思うけれど)
そして好きな作家ロベルト・ボラーニョの「野生の探偵たち」を思い出したりした。
それにしてもこのブラジルの美しい風景空気感。映し出される映像をぼんやり観ているだけでも心地よいです。