“クイーンオブソウル”、アレサフランクリン。
実際に60's〜70'sに活躍した黒人女性ソウルシンガー、ピアニスト。
キング牧師を中心にした黒人の黒人解放運動を背景に彼女の生い立ちや、牧師で宣教する父や姉妹との関係、彼女が「何のために歌うのか?」を描く。
ジェニファーハドソン、やっぱりスゴい。
彼女の歌唱力と魂は本物だと確信できる力強い存在感。
アレサフランクリンはあまり知らなかったが、オバマ大統領の就任式でも歌ってるほど、黒人の、そして米国の顔だったのか。
その彼女の半生を描いた作品。
ソウルミュージックは本当に魂の震え、叫びみたいな熱を感じる。
それがゴスペルから通じてて、黒人の内なる魂から放たれる。神への憂いや賛美、そして、自分の心を曝け出すようなハートフルな音楽。
黒人の歴史が産んだ音楽と物語。
最初は父親の宣教行脚の付き添い、客寄せ。
幼い彼女の圧倒的な歌唱力が家や教会に訪れる“戦う黒人”の心に突き刺さる。
この父親、フォレストウィテカー、相変わらず良い。ある時は皆を勇気づけ自由を謳う牧師、ある時は彼女を過保護気味に育てる父親。
彼女の歌の才覚を見出し、歌手デビューをこぎつける力もある。
が、その目的は自分や黒人のためと、彼女を利用してる部分もあったりする。
しかし、その管理と抑圧に耐えかねて幾度と飛び出しては世間の厳しさや自分の甘さに打ちひしがれて戻ってる彼女を許す暖かさもある。
自分のことしか考えていないようでそうでもなく、自分のことも娘のことも、ましてや黒人仲間の先々もわかってるようで常に混乱と迷いのあるそんな父親像がとても印象的。
そんな父親、姉妹に支えられても前途多難な彼女のシンガーとしての人生。
良い人に出会っても過渡期の環境の変化もあって、なかなかうまくいかない。
「あなたは歌い続けるのよ」
何があっても、彼女の感性と歌唱力が、何かを変える。
自分も、周りもそれをわかって、それしかないから厳しい道でもそれを選ぶ。
歌のヒットが欲しくて迷走もすれば、ちょっとした垣根を越えるとチャンスも訪れる、そして、また混沌としわからなくなって酒に溺れる。
そして、その先に見つけたモノ。
色々あって周り回って、元いた世界との繋がりも大切にした彼女の生き様。
音楽と、神と、黒人と、歌の才能。
この黒人と権利の話をベースに、彼女の歌の力に意味を感じるドラマチックでハートフルな作品。
ジェニファーハドソンの歌唱力は間違いなし。
F:1994
M:5590