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シングルマザー ブリジットを探してのotomisanのレビュー・感想・評価

4.0
 American Womanだなんて分かってたら観なかったろう。ところが摩訶不思議、あくびひとつ出ない。郊外住宅地でおもしろい事が何一つないデボラ女38、娘22、孫7つ一家で、向かいに姉夫婦とばあちゃんの一家がいるってどうゆう一族やら。男出入で大荒れなデボラだが、そのうちに娘のブリジットが消えちまって、そんな事件でもデボラの土性骨の立て直しになったんだろうか?
 それまでのメガネがよっぽど曇ってたんだろう、サイテー野郎と思ったクリスと一緒になって十何年?クリスの浮気で結局別居、さらに娘の死亡が知れたどん底でついに町を離れる決心がついて。と、書いていてもちっともおもしろくない。なら何で観続けてしもうたか。
 それは、娘が消えるまでは、こいつらどんな事件にド嵌まるかとうっすら期待して、次いで、どいつが犯人じゃとぼちぼち期待して観るんだが、事件のなりゆきから次第に一族2世帯4世代7人+1名の大家族の波乱物語ドライ仕立てが徐々に露わになってゆく手際がうまいからなのかもしれない。
 結局、ブチ切れまくりスタートのデボラも十年後には真っ当に仕事してるし、孫ジェシーも無事高校に通ってるし、向かいの姉一家とばあちゃんは波風さえ立たない?らしいし、で、これがAmerican Womanの夫に先立たれた?ばあちゃん版、しっかりもの姉ちゃん版、17歳シングルマザー・スタートのデボラ版、そのほぼコピーで殺された娘版総集編という事であろうかと。どうせなら孫も娘にすればよかったと思ったが、さいご街を離れる道中の孫ジェシーとデボラの取り合わせでやっぱり相方は男の方がいいかと思い直した。なぜだろう?
 なんであれ、この7人+1名が素っ気ないような描き方で泣いて笑って喧嘩して、きちんと+1名と離別して、今また、1世帯親子ふたりで別れて行くのが妙に甘ずっぱ気?ゆず胡椒風味ぐらいに見える。ばあちゃんが望んでたデボラの遅まきな独り立ちがブリジット失踪の清算でやっと振り切れて、さあどこまで行けるだろうか、明るくも暗くもない、ましてやっぱりおもしろくもないのに持続可能というふしぎな映画であった。
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