一人旅

だれもが愛しいチャンピオンの一人旅のレビュー・感想・評価

5.0
ハビエル・フェセル監督作。

障害者バスケのコーチを務めることになった男の奮闘と再起を描いたドラマ。

スペイン版アカデミー賞であるゴヤ賞で作品賞に輝いたスペイン映画で、人と人の繋がりを爽やかに描いた良作に仕上がっています。

プロバスケチームのコーチをしていたものの、飲酒運転事故を引き起こしてチームを解雇されてしまった主人公が、判事に90日間の社会奉仕活動を命じられ、知的障害を中心とした障害者のバスケチーム「アミーゴス」の専属コーチを務める羽目になるが―という“緩めのスポ根+人間ドラマ”であります。

障害者に対する偏見からコーチを務めることに拒絶反応を示していた主人公が、個性的な10名の障害者たちとの交流&練習を通じて彼らとの間で信頼と友情を芽生えさせていく様子が晴れやかな感動を味わわせてくれる良作で、妻と別居中&失職中の主人公の人生どん底からの再起も物語の大切なテーマとなっています。

多様な障害特性を抱える障害者たちの個性的なキャラクターと彼らとのコミュニケーションの難しさに直面する主人公の悪戦苦闘がユーモラスに映し出されて笑いを誘いますし、クライマックスの全国大会決勝ではスポーツ映画らしい手に汗握る熱戦の行方に目が離せなくなります。

偏見や差別の介在しない、人と人の純粋な心の結びつきの素晴らしさを、パラスポーツの熱気と躍動の中に活写した人間賛歌で、劇中登場する10名の障害者たちはオーディションで選ばれた実際に障害を持った人々です。
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