ワイカ

だれもが愛しいチャンピオンのワイカのレビュー・感想・評価

4.7
 すごいよかった!超オススメです。ストーリーはベタだけど、良質で素直に笑って泣ける作品でした。

 スペインのプロバスケットボールでサブコーチを務めてた独りよがりな男性が、試合中にヘッドコーチを張り倒して退場した後、やけになって酔っ払い運転で捕まって、社会奉仕で知的障害者のバスケチームのコーチを命じられ、最初は偏見だらけだったけど、彼らと接するうちに心を通わせ、一緒に成長するお話。

 正直言って障害者ものの映画は苦手意識があったけど、ここでの評価が高いので観賞したら、そんな先入観は吹き飛ばすくらい素晴らしくて楽しい映画でした。

 とにかく選手一人一人のキャラがよくて、天然ボケな言動がかわいい。選手役はみんな本当の障害者だとは信じられないくらいの演技で、全員にアカデミー賞をあげたくなりました。健常者から見た障害者の難点をオブラートに包まずコミカルに描いてるのも好感が持てました。

 コーチの奥さんも素敵。ただの別居中の妻に終わらず、ある会話にはハッとさせられました。それに続く障害者の登場人物のリアクションも、とても感動。愛情というものについて、深く考えさせられました。あとコーチのお母さんもいいキャラだったなぁ。

 脚本もうまく、疑問点や突っ込みどころがあまりない上、細かい伏線回収がいくつもあって気持ちがいいです。テンポや笑いのセンス、音楽も◎。

 あえて難を言えば、終盤の感動押し売り系の音楽と演出がちょっとクサくて残念でした。あと、社会奉仕を命じた女性判事も、設定を考えるともう少し終盤まで物語に絡めてほしかったかな。でもそこまで気になるほどではなかったです。

 この手の映画は、今ではハリウッドよりヨーロッパの方がずっと良いものを作れるのかも。あらゆる人に観てほしい秀作です。
ワイカ

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