ひでとし

ゾンビの中心で、愛をさけぶのひでとしのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

冷めきった夫婦が世界の崩壊と共に夫婦の関係を再構築していく物語

ゾンビ物が苦手な人でも観れる映画
ゾンビと闘ったりの描写は殆ど出て来ず、人間ドラマがメイン

ゾンビとの闘いは1分とか2分あるかないかってぐらい。

というか恋愛映画である。

殆ど恋愛映画は観ないけど、ゾンビが絡めば話は別

派手な映りでも舞台でも無いのでどうしても中弛み感は否めないし、流れや結末は誰でも予想がつくがむしろそれぐらいが気持ちが良い。

ゾンビ物は人間ドラマが一番好きな部分でもあるのでこの作品はそこを重点的に楽しめるので良き。
途中で出てくる老夫婦や強盗などの第三者で夫婦の心や状況を動かしていくのはストーリーを進めて行くうえでの強制イベントの様なものなのでツッコミはナンセンス。

初めはドラッグやセックスは絵を保たせる為の味付けかと思ったけど、妻が抱えてる闇や崩壊する世界で妙に目立つ日常や普遍的な正しさとのアンバランスを演出する為のドラッグだとしたら中々の秀逸さ。

セックスに関しても夫婦にとっては子作りの為にする事が多いとは言えこの夫婦は子供が出来ないので、愛を確かめ合う行為として作中の初めの方と最後の夜とでは全くの別物の行為と描かれていて良かった。
家族になるとどうしても昔の恋人同士の様な関係は減ってしまう事が多いと思うけど、最後は男女のそれだったし、それでいて夫婦として家族としても愛を取り戻していたように見えた。


ラストはあれで良かったと個人的には思う。

あとちょっと待てばーとかワクチンがーとか
正論棒を振り回すのはやめよう。


中身とは一切関係無いけど、パッケージと邦題で確実に損をしている映画。
原題は「ZOO」
B級大好きだけど、この映画に関しては真面目につけてあげれば良かったのにって思う。


ホラー好きじゃ無い人にもお勧め出来るいい映画でした。

恋愛映画の経験値はほぼない人間なのでこれを恋愛映画とした場合の評価はわからないけど、色物ゾンビ映画としてはそれなりに満足する出来でありました。


もう一度知り合うって所は随分と心に響く。
恋愛は一人じゃ出来ないし、相手があっての事。こっちが好きなだけじゃ成り立たないし、お互いが惹かれて始まってもすれ違ったり、好意が薄れて別れたり。いろいろある。

別にそれ自体良い悪いや正解、不正解はないけど、もう一度確かめ合う、もう一度お互いを知り合って再構築するって大切だなって。

ゾンビがそのきっかけになったこの夫婦は幸せだったのかも知れない。