磯野マグロ

残念なアイドルはゾンビメイクがよく似合うの磯野マグロのレビュー・感想・評価

3.7
【フェイマシーのライブ行きたい】

「アイドル映画は、見る」という誓いに従って大森へ。どこかの室内で、ゾンビ映画の撮影準備中。しょっぱなから、セットや演技がカメ止めよりもさらに予算が少ないAVかピンク映画の雰囲気。登場人物はアイドル6人と、メイク、特殊メイク、助監督、その他たくさん。
知らなかったんだけど、AVの撮影現場を舞台にしたシリーズ「メイクルーム」の第3弾だそうで、今回はいつもの制作メンバーで、微妙なアイドルが出る超低予算ゾンビ映画を作ってます、という設定。だからこの映画自体はホラーではなくて、やっすい現場で起こるいろいろなトラブルを、うまい脚本でテンポよく、コミカルかつ時には感動的に見せていく。ただ「ホラー秘宝まつり」でかけていいの?という気も。おもしいからいいか。
アイドルの性格の描き分けが秀逸で、混乱させずに、ひとりひとりが胸に秘める葛藤を見せていく。アイドル映画の場合、大人の願望とか妄想でストーリーが作られがち。この映画のなかで作られてる映画もモロにそうで、しかも低予算なのでつまんなそうというか、別の読み替えをしながら見る必要がありそう。好物かも!笑
それでもみんな、ものづくりはいつでもできる範囲で全力投球だし、自分の志向と合ってようが違おうが、かかわった以上は最後までやめられない。最後はなんとなく大団円になっちゃうのがちょっと無理矢理だけど、そんなに悪くない。
メイクさんを狂言回しにしているのがうまい。鏡の前に座り、髪をいじってもらうと、すぐに親密な関係になれる。いろんな子が、順々にメイクされていくなかで、だれにも言えなかった心情をポロっと出してしまう。メイク中だから、顔もよくわかるし、ひとりひとりの話をゆっくりきちんと聞いても不自然じゃない。ミスミソウでゲロ吐いてミンチになった森田亜紀さん(そんな説明はないだろう…)、お母さん感出てます。いい雰囲気です。
出てくるアイドル役のみなさんは、ほとんど初めて見る方ばかりで、かなり地下アイドル感が強めに出てました(笑)が、これからが楽しみ。向上心と嫉妬からツンケンしちゃうミエコが「ああ、いるよねーこういう子」って感じ。他の子もみんなきちんと作り込まれてる。きっとこの予算でここまで脚本を作りこむのは大変だったろう(という点もカメ止め的)。ただしエロもグロもないので、その点は覚悟の上で。
本編前に見たシッチェスの予告編がめっちゃ面白そうで、超楽しみ。
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