くりふ

殺し屋のくりふのレビュー・感想・評価

殺し屋(2018年製作の映画)
3.0
【魔女と野獣】

今年のカリコレ物件をレンタルで。邦題まんまの、古色蒼然刺客悲哀ものだが、ロン・パールマン×ファムケ・ヤンセンという、見た目フリークなのに可愛らしきカップルに寄り添うのが肝。

で、あのフーパーが堕ちたものだ…とリチャード・ドレイファスに苦笑いし、枯れ過ぎて誰かわからぬジャクリーン・ビセットに驚いたりする役者映画。

寄る年波で、殺し屋稼業がしんどくなった男が、老いらくの恋の成就に奮闘するが、人生のシンプルな罠にはまってゆくお話し。

殺し屋業界には無知なので、この展開がリアルは知らないが、枯れゆく主人公の葛藤には共感できる。でもヒロインの感情・事情は掘り込み不足。殺し屋が、金でなく愛のために人を殺す…あのエピソードをピークにできたら面白くなったろうなあ…この架空話で終わらせずに。

ロンおじさんは見た目が面白くて飽きない。標的を地下鉄で尾行するシーンがあるが、グラサンかけると余計に目立つ。絶対バレるだろ。

でも、求愛行動が明らかにストーカーなのだが、あのデッカイ図体だと可笑しくて、ヤバさが薄まっていい感じだ。

ファムケ姐さんは、まだ美女エリアに半歩、留まっているが、元々の魔女顔が加齢メイク濃厚化で、ドラアグクイーンに半歩踏み込んでいる。ときどき、怖い。でも、色っぽい。彼女も眺めて飽きません。

恐らく脚本作りの過程では、このカップルが、ある禁断の殺しを行う物語にする案もあったんじゃないか。個人的にはそちらが見たかった。

ベテラン監督、マイケル・ケイトン・ジョーンズの演出は、安定的確で見やすいけれど、やっぱり意外性はありませんね。

<2019.10.7記>
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