Itotty

生きるのItottyのネタバレレビュー・内容・結末

生きる(1952年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

2024年。新年初映画で、とうとうクロサワ監督初観賞しました。

主人公が死に向き合い、初めて、己の道を生きることを始めるというざっくりしたストーリーは知っていたものの、驚いたのは、彼が活力を得て活躍する様子が描かれるのが死後の断片的なエピソードだということ。
最後の1時間くらいですかね。お通夜会場での市役所の人たちの回想による課長の奮闘が続きますが、どのエピソードにおいても、病弱にして声や姿勢に覇気はなくもと、折れない信念が垣間見れて、そしてそれが周りの人にも若干でも伝わったことがとても素敵だなあと感じました。言葉にするとありきたりですが、誰だって人生の主人公になれるんだって、優しく教えてくれるところが素敵でした。

終盤のブランコのシーン。近くにいたお巡りさんが、課長さんが嬉しそうに歌ってたって言ってたのでそうなんでしょうけれど、やりきったという満足感があったのでしょうか?正直、彼の歌声を聴いてみて、まだまだ家族や人生に対する後悔なども残っているように感じたのです。
1人の人間の中で、生きている間に全てを大満足で終えることは難しい。
でも一方で、一人の人間史を周囲が認識し、語り、残すことで、その人生はより輝くものなのである。そんな優しいメッセージと受け取りました。
死してなお新しい曲ができる、大好きな2pacを思いました。
今なお映画に触れるたびに心に蘇る友のことを思いました。





大丈夫。生きていこう。
大丈夫。一緒にだから。
ふわふわと舞って、しゅんと溶ける
そんな雪のような私たちだとしても
また季節が巡れば会えるから。
そんな人でありたい
そんな人になりたい
Itotty

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