このレビューはネタバレを含みます
予想以上にシリアスでズンと来る映画でした。あのBLMを考えると、まったくフィクションに思えず考えさせられます。
車の些細な運転ミスで白人警官に横暴な取り締まりを受け、正当防衛で警官を撃ち殺しちゃうことになっちゃった、ごく善良な黒人男女の逃避行を描いた作品。
主人公2人はもともと恋人同士ではなく、単にネットかなんかで知り合ったばかりの男女らしいという設定なのが今っぽい。しかも女性は弁護士、男性はスーパーのレジ打ち担当という、誰がどう見ても善良な市民なのに、黒人というだけで理不尽な目にあうという、2006年のアカデミー賞映画「クラッシュ」からなんも変わってないアメリカ社会を描いてます。
黒人版「ボニー&クライド」なんて評価もあったから、もっとドンパチあるのかと思いきや、中盤は中弛みと言っていいくらいの淡々さ。でもそれが逆にリアリティを醸し出していました。
途中、彼らを助ける人たちのそれぞれの行動も考えさせられました。黒人警官がこっそり助けたくだりは良かったです。
最後は切ない。アメリカからこんなことがなくなる日は果たして来るのでしょうか。