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ガリーボーイのesewのレビュー・感想・評価

ガリーボーイ(2018年製作の映画)
3.0
2021.1/19 02

インド社会でも少数派であるムスリムのインド人が主人公なので、数多の社会問題や規範的圧力がそこかしこに仕込まれてる社会派な内容で知らず知らずに重かった。

「息子よ、上を向いて生きてはいけない。俺たちの人生は甘くない、未来も明るくない。」っていう父親(劇中では第2夫人をスラムの実家に連れてきた挙句、主人公の母親をぶん殴って罵倒するので観客は感情移入ゼロになる)の言葉が、全く同調できない人物像であるこの人間から語られても、なお重く重く見てる自分の胸を突いた。

劇中の至る所で登場人物達が語るインドムスリム社会の「正論」や「教訓」は強烈な違和感を放っていて日本人には理不尽極まりなく感じられるのだけれど、おそらく日本も50年か100年遡ればみんなこういうことを言っていただろうと思うと、その時代の「正論」や「常識」はかなり理不尽で不当な部分があるんだろうなと想像させられた。

ただ劇終盤の展開はちょっと安っぽく感じた。だって主人公のラップ、フローやグルーヴがダサいよね?語尾で踏んでるだけで単調だし。言葉の意味がわからないからライムは判断しようがないけど。導き手だったMCシェールのが上手いでしょ笑

劇中一番いい曲だったのが、大学の中庭でライブしてて中断させられたギターロックのソロシンガーの女の子だった。ラップに一番いい曲持ってこいよ!!
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