紅梅シュプレヒコール

アルプススタンドのはしの方の紅梅シュプレヒコールのレビュー・感想・評価

4.2
高校野球のスタンド側に焦点を当て、問題を抱えた高校生4人の心情が変化する様を試合と同時進行して描いていく青春群像劇

90分にも満たない短尺ながらも纏まった構成とダイアローグの心地よさによって鑑賞後の満足感が高い良作です

試合を直接描写せずに、登場人物間の会話や球場の歓声等を利用し、鑑賞者の想像力に任せる徹底ぶりが素晴らしい

試合を見せない事で情報量が整理され、焦点が当てられている4人のドラマに集中する事ができ、短尺と相まって非常に観やすい作品になっている

登場人物の変化も分かりやすいし、視覚的に距離感が縮まっていく様を見せてくれるのも丁寧

「しょうがない」を言い訳に、問題から目を逸らすのは自己防衛として楽な手段ですが、抱えている問題が果たして「しょうがない」で済ましてしまって良い事なのかどうかを一考するきっかけを与えてくれる素晴らしい作品