DJあおやま

アルプススタンドのはしの方のDJあおやまのレビュー・感想・評価

3.8
舞台原作らしくコンパクトな大傑作。観客席というワンシチュエーションだけで野球の一試合を描き切る巧みさに拍手。城定監督といえばピンク映画の印象が強かったが、こういった技巧派な映画も作れるとは。
野球のルールも知らないようなスクールカースト低めの主人公たちが、アルプススタンドのはしの方で高校野球の試合を見守る。高校生において高校球児は誰が見てもスクールカーストの頂点。だからこそ、アルプススタンドを含めた位置関係がそのままスクールカーストを表しているような。そんな相容れない関係性のはずが、けっしてドラマティックでない人間模様と試合の行く末がシンクロしていくのが素晴らしい。そして、エピローグがこれまた憎い。
結局、野球はどの人間の心も突き動かしてしまうんだなと、アンチ野球人間としては少し悲しさも覚えたり。
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