特売小説

アルプススタンドのはしの方の特売小説のレビュー・感想・評価

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極々自然な流れでスリリングな会話劇を展開し、そうして登場人物それぞれの思惑が交錯する状況を作り上げたところでその行方を。

直接的に描けばきっと青臭くてとても見ちゃらんないような大惨事となるところを画面外で行われている野球の試合のそれと重ねる事で以て擦れっ枯らしにも受け止め易い、即ち感情移入が容易な形にして見せる構成の妙に脱帽。

仕様がないなんて事があるか、て言いたくなっちゃったもん、画面上では一度も姿を見せていない野球部の彼を心底応援したくなっちゃったもん。

限定的条件下に置かれた逆境をアイデアで以て引っ繰り返す、小兵力士の活躍に沸くみたいに日本人がDNAレベルで好きになっちゃう類いのこれは良作じゃあないですかね。

エピロークで見られた彼らのその後の姿に思わずにこにこしちゃったもん、たった75分のランタイム、その程度の付き合いで彼らのなにを知ってるって訳でもないのに。
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