櫻イミト

フォロウィングの櫻イミトのレビュー・感想・評価

フォロウィング(1998年製作の映画)
4.0
ノーラン監督(当時27歳)が脚本・撮影・共同編集・共同製作を兼任し、各国のインディペンデント系映画祭で絶賛された長編デビュー作。出演は学生時代の仲間たち。Followingは追随者の意味。

作家志望のビルは取調室で自供する。彼は創作のヒントを得るために街で目に付いた人間を尾行・観察していた。だがある時、うっかり尾行相手のコッブに気づかれてしまう。彼は
不法侵入を趣味としていた。ビルは彼に感化され行動をと共にし始めるが。。。

とても良く出来ていて楽しめた。デビュー作から時系列組み換え構成をしていたのが興味深い。

時系列組み換え自体は当時でも珍しくはないが、本作のシナリオは実に巧妙に練られていて完成度が高い。さらに着目すべきは映像から発せられるノワールで暴力的なムードで、後のダークナイト三部作にまで横たわる人間の闇の部分へのアプローチが既に始められている。

アートに寄らずエンターテイメントの土俵で深層心理を描く姿勢と力量に感心。個人的にはダークナイト三部作以降のノーラン監督の作風は策が先走った印象が強くあまり評価できず、本作の方がずっと面白かった。
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