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山中静夫氏の尊厳死のtheocatsのレビュー・感想・評価

山中静夫氏の尊厳死(2019年製作の映画)
3.8
よくは分からないまま見始め、「死にまつわる邦画あるある的凡庸な情緒劇」なんだろうと、弛緩した気分でダラダラ見進める。

しかし、末期がん患者が自分で墓を造った後から体調を崩し、いよいよ死期が迫って以降の展開には少しばかり前のめりにさせられる。

「人間いかに生き、いかに死すべきか?」という命題について、思いのほか考えさせられたのは間違いない。

多数の死をみとってきたターミナルケア看取り医役としての津田寛治が本件の患者看取り後、精神に不調をきたし、彼の診察をした同僚医師が「あまりにも死をみとり過ぎたんですよ、しばらく休んでください」という言葉にもまた思うところあり、映画の様に親身に患者のために尽くそうとすると相当の負担が医師にのしかかるであろうこともなんとなく納得できた。
だから、担当医師に機械的に血の気のない対処をされたとしても文句は言えないなぁなんて思ったりもした。あくまでも自分がやられたらの話で、家族の誰かが冷淡な仕打ちをされたら冷静ではいられないかもしれないけどね。苦笑
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