ハレルヤ

デンマークの息子のハレルヤのレビュー・感想・評価

デンマークの息子(2019年製作の映画)
3.8
2025年のデンマーク。過激派の移民による大規模な爆弾テロがあってから1年が経ち、移民排斥を訴える国民英雄党。そのリーダーを暗殺しようと企てる移民の青年ザカリア。その過激派に潜入する捜査官アリの姿を描いた社会派サスペンス。

近未来で本当にありそうなテーマを取り扱った作品。日本では実感しにくいヨーロッパの移民問題。それを静かながらも克明に捉えた内容に仕上がっています。

デンマークはデンマーク人のものだと主張する国民英雄党。日々過度な嫌がらせを受けて反抗勢力として拡大していく過激派の「デンマークの息子」。

前半は「デンマークの息子」へと傾倒していく青年ザカリアの姿。後半は潜入捜査官のアリを中心に物語は展開。そういった構成は面白味がありましたし、終盤での悲劇も衝撃的。誰を信じたらいいのか、何を守っているのか。この歯止めの効かない争いに翻弄される2人を見ていると本当に胸が痛みます。

作風自体は淡々としていて、ド派手な演出もありません。でも確かに感じられるヒリヒリした緊張感。デンマークのみならずヨーロッパが抱える問題を鋭く切り取った良作だと思います。見てる人少ないのが勿体無いなぁ。
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