FREDDY

映画ドラえもん のび太の新恐竜のFREDDYのネタバレレビュー・内容・結末

2.4

このレビューはネタバレを含みます

藤子・F・不二雄原作のTVアニメ『ドラえもん』の劇場版シリーズ通算40作で、ドラえもん連載50周年記念作品でもある本作は、スネ夫たちとともに訪れた恐竜展の化石発掘体験で偶然見つけた恐竜の卵の化石を持ち帰り、ひみつ道具"タイムふろしき"によって孵化した新種の双子の恐竜キューとミューをドラえもんと一緒にノビサウルスランドと名付けた飼育用ジオラマセットの中で育てるも、成長した2匹の恐竜を育てることに限界を迎えてしまったことでキューとミューを元の時代に返すことを決心し、タイムマシンで6600万年前の白亜紀へと旅立ったのび太とその仲間たちが織り成す大冒険が描かれたものとなっているのだが、のび太とキューによる熱い友情には心を揺さぶられましたし、溺れていたのび太を救った恐竜が『のび太の恐竜2006』で登場したフタバスズキリュウで、気を失っていたのび太の夢の中にピー助がサプライズ登場するシーンはやはり胸にくるものがあり、過去作品へのリスペクトが感じられた点は良かったですね。そしてわりと大人向けに仕上った本作から伝わるメッセージもあり、中々面白い作品ではありました。ただ、終盤に入ってからの腑に落ちない展開の連続にはただただ残念の一言で、飛べなかったキューがのび太を救うために飛べるようになるという展開は安易ながら涙を誘うシーンではあるものの、タイムパトロールの隊員ジルがこの場面を"進化の瞬間"と捉え、この場面がなければ"地球の歴史は変わっていたかもしれない"とも恐竜学者として熱を放っていたが、キューを除いた同種の恐竜たちはすでに飛べていて、その事実を目にしていたジルが果たしてこのようなセリフを口にするのか。そして歴史改変を阻止する立場のタイムパトロール隊員が、今にも大きく歴史を改変しようとしているのび太たちの行動に干渉せず見守るという選択肢はありえるのか。それにキューが飛べるようになってしばらくしてから飛べたことに気づくジルのタイムラグも違和感でしかなく、何よりも小惑星衝突から恐竜を救ってしまったという結末に首を傾げるばかり。"アニメだから"で済まされないのは恐竜の絶滅は小惑星衝突だけではなく、その後の寒冷化による気温の変化ですからね。いくら前向きなハッピーエンドを装っても劇中でも触れている以上、気持ちは複雑ですね。本作は大人向けの雰囲気だが内容は子供向けですし、ピー助は夢の中だけの登場という認識で視聴することも大切。なんとも評価の難しい作品でした。
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