Ayakashd

アメリカン・ファクトリーのAyakashdのレビュー・感想・評価

アメリカン・ファクトリー(2019年製作の映画)
4.0
なにこれめちゃくちゃ面白い。
グローバリゼーション、失業率、工場労働者、労働組合、カルチャークラッシュ、米中関係…なんてエキサイティングでリアルで示唆的なの。

いろいろと呆然、愕然となるシーンも多々あった。ホンダやトヨタが米国工場作った時ってどうしたんだろうってまじで思った。それに、いまや当たり前になっている日本メーカーの中国工場のオペレーション構築の時ってどうしたんだろう。それに、オフショアとかって当たり前にベトナムとかに開発移したりとかしてるけど、いったいどうやってワークさせているのか!!労働観、労使関係観が違いすぎて、まじで難しい。でも、どこか、それが仕事の面白さでもあるとも感じたり。

労働者個々人のストーリー、インクルージョンの視点、雇用者の視点、労組の視点…公平に、かつ行きすぎた編集もなく、わりとあるがままに置いていくようなドキュメンタリー。

けど、日本人の心情は「中国こわ」に傾くよね。それはやっぱり日本人の複雑な対中感情のフィルタだって考慮すべき。映画そのもののスタンスじゃないとわたしは思う。確かにわたしも祝賀会のシーンや中国の工場のシーンには目を白黒させた、全体主義的に見えたし、計画生産的に見えたし。でもあれはあの会社にとったら誇りに思えるシーンなはずで。あのシーン自体が「中国に批判的」だとは全然思わない。

一方で、あの中国の朝礼の後で見せられたオハイオでの朝礼にはまた、愕然とするものがあったよね。これはこれで…って思う自分を発見して。米国労働者の見え方を変えてしまう編集だった。

人が生き、働き、それが社会を形成するということのダイナミズムよ。

個人の失業、ということが個人の人生にとってどれほど重い出来事で、さらにそれが回り回って政治や国際関係にどれほどのインパクトを及ぼす出来事なのか。
そのことを体感させられた。

そして、仕事があることへの感謝が、すこし湧いたw

オバマ夫妻も監督夫妻も素敵。好き。
Ayakashd

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