ゆき

少年の君のゆきのレビュー・感想・評価

少年の君(2019年製作の映画)
3.9
夜明けは目前

往前走,我一定在你后边。
学歴が未来を切り開く。一発勝負の全国統一入学試験。
「孤独に勝つ」という同条件で学生たちはみんな闘う。
大人になる勉強は誰が教えてくれるのだろう。
一番身近な大人である母親は出稼ぎで家を空ける。
母親は勝手に娘に期待し、一人の人間として信用しきっている。
自分との闘いから逃げるように鬱憤を晴らす少年少女。
いじめる方の精神面が心配になる。
鬱々とした場所から出ることを目がけていても、「怎么出发?」そんな疑問は絶えない。
別世界を歩いていたはずの二人が、互いの生活に欠かせない存在へと変わる。無理に語らない関係性が良い。
「你做得对」そう言い切って支える、力強い目が印象的。
顔のアップは多いが疲れない見せ方で、光の入れ方が美しいのも。
何より周冬雨、易烊千璽の熱演(いじめっこの役の周也も表情豊かだった)に完敗。
ベタな純愛が展開する中で、バオベイこと黄覚の渋さもいいスパイス。
心を通い合わせるかのように、二人の表情を向かい合わせるシーンには脱帽した。

"君は世界を守れ 俺は君を守る"
×××
絶望的な日々を耐え忍ぶチェン・ニェン。いじめが日常化する殺伐とした進学校ではクラスメイトが命を絶った。高考(全国統一入学試験)を控えた校舎では、彼女の自殺は良いネタになる。異様な空気感に堪え切れずチェン・ニェンは遺体にそっと自分の上着をかけた。この日を境に彼女の日常は一変する。
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