白波

少年の君の白波のレビュー・感想・評価

少年の君(2019年製作の映画)
4.7
プライム・ビデオ鑑賞
優等生の少女と不良少年という、相入れない二人が心を通わせていく物語。
サムネから爽やか青春映画だと思っていたら全然違く、始まってすぐ重い気分になりました。
しかしながら作品は実に素晴らしい。
カメラが美しくてとても心に響くようでした。
登下校を見守る姿は光と影のコントラストを上手く使い分けて、“そっち側とこっち側”を視覚的に見せたとても印象深いシーン。
他にも美しいカットがたくさん溢れていて、それが二人の心の解け方とリンクしており観ていて心地良いです。
それと序盤からやたら入る防犯カメラのカット。
“見えているはずなのに誰も見ていない”といった無関心な背景を感じ、何だかとても物悲しかった。でもすごい効果的な演出でもありました。
また脚本も素晴らしく、心の通わせ方や容赦ない暴力描写など本当に繊細でした。
子どもたちの闇と司法という大人の闇、それににさらされる二人が余りに痛々しい。
いじめの渦中、受験戦争、貧困、子どもの孤独、そんな中で育まれる友情と淡い恋心。
終始過酷だがそのラストはとても暖かかったです。
これは本当スクリーンで観たかったなぁ。
厳しい社会問題を背景にした、素晴らしい青春映画でした。
白波

白波