このレビューはネタバレを含みます
元ナチス党員を70年以上前に犯した罪で裁く。ホロコーストの残虐行為に加担した多くの党員が逃げおおせた後、90代の会計係の老人がスケープゴート的に裁かれる様子は哀れだった。
なぜ今なのか。戦後行われた杜撰な裁判のツケが現在に回ってきてるからであった。ネオナチの台頭、移民排斥の運動、ホロコースト否認論…。元ナチス党員たちが保身のために事実を葬り、刑を軽くした事実は後世にまで影響を及ぼし、同じ惨劇が繰り返される。
彼等への罰が現在進行形の暴力への抑止力になるというの主張について、確かにそれもあるけど、そこに至るまでの事実を明らかにして当時の記憶を共有するプロセス自体かなり意義があることだと思った。