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ブラック・レインのやむちゃのレビュー・感想・評価

ブラック・レイン(1989年製作の映画)
3.8
備忘録
1989.10に鑑賞。
レーザディスクも買った。

地元大阪を舞台にした作品。
主演はマイケル・ダグラス、高倉健。共演は松田優作、アンディ・ガルシアなど。
監督はリドリー・スコット。

刑事のニック(マイケル・ダグラス)とチャーリー(アンディ・ガルシア)は、アメリカで捕まえたヤクザの佐藤(松田優作)を日本に引き渡すため大阪まで護送するが、佐藤の仲間が扮した偽刑事に引き渡してしまい逃亡されてしまう。そのためニックたちは大阪府警の松本(高倉健)と共に、佐藤を追うお話。

出演者たちが素晴らしい。
松田優作の、病魔に侵されながらの鬼気迫る演技は、「凄い」の一言。
「燃えよドラゴン」撮影時のブルース・リーにも通じるものがある。
高倉健の、寡黙で組織に忠実でありながら、忠義に厚いキャラも魅力的。健さんの抑えた演技は、アメリカの観客に新鮮に映っただろうなと思う。
出番は多くないが、若山富三郎のドスの利いた声、話し方も存在感たっぷり。
ほぼ日本勢というアウェイな状況でも、マイケル・ダグラスはやはりハリウッドスターの貫禄で、主役として物語を引っ張る。
当時はまだ若手のアンディ・ガルシアも、若々しい演技で魅せる。
クラブミヤコで松本と楽しく歌を唄ったあとに、佐藤たちに惨殺される阪急コンコースシーンが印象的。
この作品のあと、バイクに乗り、鉄パイプや日本刀を地面に当てて火花を散らすシーンが流行った。実際の暴走族もやっていたw

今と違って、外国映画の撮影が行われるなんて皆無の時代、撮影の段階から、大阪ではかなり話題になっていた。
真偽のほどは定かではないが、以前リドリー・スコットが来阪した際に阿倍野警察(建て替えられて今はない)の外観を見て、撮影したいと思ったのがきっかけとの噂が流れていた。
知っている身近な風景が、ハリウッド作品としてスクリーンに映っているというのは不思議な感覚だった。

リドリー・スコットらしく、スモークや濡れた路面、そこに映るネオンといったブレードランナーっぽい、カッコ良い大阪の夜景が印象的。
日本側のスタッフがしっかり考証しているのだと思うが、最近の作品と比べても、違和感の少ない「日本」が描写されている。
とはいえ、派手なアクションシーンなどは許可が降りず、アメリカで撮影されており、ちょっと変な日本になっている。
今作のロケで、行政が撮影に協力的でないとの評判が立ち、日本、特に大阪でのロケは敬遠されることになってしまったらしい。
その反省から、日本で最初に大阪でフィルムコミッションが設立されたが、残念ながら今作以降大規模な撮影は行われていない(久々にジョン・ウィック:コンセクエンスで風景だけ登場)。

余談:ヤクザの子分役で吉本新喜劇の島木譲二が出ていた。
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