ワルシャワで暮らすとある煉瓦工の男を描いたキェシロフスキ初期の短編ドキュメンタリー。
身支度を整える男のモノローグでかつての活動家としての記憶が語られます。
政治的なパレードの後に空撮で映し出される街並み、そしてラストのレンガを積み上げていく姿からは、自身の仕事が形となって歴史を築いていくことへの職人の自負が感じられると同時に、労働者に対するキェシロフスキの尊敬の眼差しが感じられる気がしました。

身支度を整え、朝食をとる。これが彼の毎朝のルーティンなのだろう。映画のタイトルを冠した「レンガ職人」であるヨゼフ・マレサの回想物語。

社会主義の思想を信じ奔走していた党活動家だった彼は、権力の軋轢や妨害の圧力を感じ労働者としての生きる幸福を選びレンガ職人に戻った。後期の映画におけるキエシロフスキのスタイルの片鱗が垣間見える短編ドキュメンタリー。

彼の初めてのカラー作品なのでは。

内容は特に印象に残らない感じかもね…時代の激しい移り変わりを直に体験したであろう世代の労働者の半生を語っている、ということなら面白そうではあるものの、無限独白は基本見ていて退屈なんだな、と幾つかの監督のキャリア初期の短編をある程度見てきて気づいた。ウェス・アンダーソンの長編映画のオープニングくらいやらないと俺は楽しめないかな

また彼のフィルモグラフィーから見れば共産主義への批判をしてる作品の一つではあるけど、アンチ共産主義という大義よりも、娘/次の世代への言葉や、自分たちが既に作り上げたものへの振り返りなどに、このポーランドの混乱の時代の渦中にある小ちゃい個人たちを賛美するような映画だった。