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ソー:ラブ&サンダーの都部のレビュー・感想・評価

ソー:ラブ&サンダー(2022年製作の映画)
3.6
前作を傑作たらしめたソーのキャラクター性に沿ったコメディとシリアスの絶妙な融合という点で言えば劣る四作目だが、及第点を満たした面白さは担保されている為に愉快痛快と楽しめる本作。

監督.脚本共にタイカ・ワイティティによる制作は実の所ラグナロクから一変しており、ある種ワンマン体制の強まりが作品にどんな影響を齎すのかと楽しみにしていたが前作以上に緩急の付け方に作家性が発揮されている。

とはいえクリス・ヘムズワースとナタリーポートマンの再タッグによる二人のソーのヒロイックな活躍の数々は痛快で、各々の性質を活かした武器による戦闘シーンのみならずドラマの面でも二人の関係性の決着をよくよく掘り下げる形となっていたのは良し。
それと比較するとゴアを除く新たなキャラクターや既存のGOGキャラクターの扱い方は今一つで、エンドゲームの地続きを意識した序盤の展開が作劇上で最後まで有機的な絡み方をしないのは制作都合による足枷の様な歯切れの悪さを感じざるを得ないだろう。

ある意味で本作はユニバース設定を突き放した側面があり、整合性を意識すると呑み込みきれない展開が数あるのだが個人的には終盤の展開は爽快であったし、何よりもタイトルの拾い方が華麗であったので良し悪しに目を瞑るだけの面白味は担保されている。

最後に──ゴアを演じるクリスチャン・ベールの演技が絶品で、冒頭からゴットブッチャーになり得る存在としての説得力を多分に含んだ感情の籠り方が非常によく、魅力的なヴィラン像として本作を締める存在となっていた。
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