きゅうげん

ハロウィン KILLSのきゅうげんのレビュー・感想・評価

ハロウィン KILLS(2021年製作の映画)
3.5
暴走する殺戮のブギーマン!
 vs
暴走する過剰な自警主義!
恐怖に支配されたハドンフィールドと生還したマイケル・マイヤーズによって、惨劇の一夜は深まるばかり……。
『ハロウィン』っていうか『13金』感あるマイケル無双によって、オリジナル以来の出演陣だろうが主人公だろうが、花を持たせるヒマなく退場させるのは、なんというか天晴れです。

社会正義をかかげたヴィジランティズムが、加速的に過激な展開をみせ集団分極化へ至るのは、今の時代にあって無視できない問題です。
とくに病院での人違い事件やクライマックスのマイケル集団リンチなどは悲痛な内容で、最早そこにあるのは善悪でなく恐怖だけです。彼らがアベンジ、あるいはリベンジとして行う暴力もまた、ブギーマンとは異なる悍ましさを持っています。

このように重要なタームを取扱う一方で浮かび上がるのは、マイケル殺害の是非にかかわる倫理的な問題です。
「悪は今夜死ぬ!」と先鋭化する大衆とは距離を置きつつも、マイケルの死を目指す主人公サイドの心情にはアンビバレントな欺瞞が感じられますし、そもそもマイケル・マイヤーズって死ぬべきなんですかね?
どんなオチをつけるのか、完結作が楽しみです。

ところでカーペンター親子合作の劇伴、息子コーディらしいジャパニメーション感・ゲーム音楽感も打ち出されていて、嫌いじゃないんですが……ちょっと安っぽいかも。