半変人のお調子者

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーの半変人のお調子者のレビュー・感想・評価

2.9
まず、チャドウィック・ボーズマン演じるティ・チャラ陛下及びブラックパンサーは本当に素晴らしかった。彼の勇姿がもう観られないという事実は未だに辛い。そんな悲しみの中作られた本作。彼がいなくなり、ポッカリ空いた大きな穴をみんなで埋め合い、最大級の哀悼の意を込めて、我らの王を送り出す本作の姿勢は勿論素晴らしいと思うし、そういった場面にはとても胸が締め付けられた。

ただ映画として観ると残念…と言わざるを得ない。

中盤の敵襲で、主人公の大切な人が死に、主人公はその敵を殺して復讐を遂げようとする。そして終盤、遂に宿敵と相対した主人公は、殺す一歩手前まで追い詰めるも、思い直し、許す道を選ぶ…

…ってこの展開まんまNWHじゃんと思って、あんまり乗れなかった。あまりにも展開が似過ぎ。

シュリがブラックパンサーになるのは、大体予告から分かってたけど、これまでの作品でそこまでシュリって掘り下げられてなかったから、仕方がないとはいえ、いきなり感が否めないし、そんな人物がブラックパンサーという立場を利用して国を巻き込んで復讐を果たそうとするから、正直感情移入がしにくかった。全くブラックパンサーがヒーローとして機能してない。

そして復讐止める理由もパッとしない。
NWHはその辺りきっちりしてた。トムホピーターの復讐を止めたのは、過去に復讐を実行した事を後悔している人物だったから。
今作は急に母親のラモンダが話してくるだけ。しかもその当人は前の場面でオコエに大人気なくブチキレてた事もあって、あまり説得力が無くて、なんだかなぁ…と思った。

あとこの話に2時間40分は長すぎ。もっと切り詰められなかったものだろうか。少なくともヴァル絡みのシーンはまるっといらなくない?今作が作品同士の繋がり薄めだからこそ、ヴァルのシーンはMCUの都合が浮いて見えてしまった。

タロカン帝国もそこまで魅力的な場所に見えなかったのも残念だった。

ただ登場人物の魅力は画面から飛び出してきそうなほど溢れて出てきて良かった。特にオコエ!リリとの初対面シーンのコミカルさ、橋の上での戦闘、隊長をクビになる場面の何とも言えない表情、そしてミッドナイトエンジェル…
マジでカッコいい。

エムバクも無益な戦いを起こさないようにシュリの暴走を止めようとするなど、成熟した族長っぷりをプンプン漂わせていて良かった。5年も王のいない国を守っていたのだから、そりゃあれだけ賢明な人にもなるよね。
…ってそういえば5年指パッチンでティ・チャラ消えてたんだよね?
ティチャラが死んで1年でこんな事になってるのに、よくあの5年間何事も無く国がもったな…

映画評価基準

この映画が好きか 5
没入感 6
脚本 5
映像 7
キャスト 10
感情移入度 4
音楽 8
余韻 5
おすすめ度 5
何度も観たくなるか 3

計58点