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ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーのmiumiuのレビュー・感想・評価

4.3
公開初日に鑑賞。

シリーズ主演のチャドウィック・ボーズマンが亡くなり企画自体が頓挫してもおかしくない状況から、チャドウィックへの畏敬と追悼の気持ちを最大限に込めた監督をはじめとするスタッフ、出演者に賛辞を送りたい。

オープニングから泣いてしまった…
妹のシュリはじめワカンダの人々が、ティ・チャラ王の死をどうやって受け入れていくのかの、心の旅路を描く映画。
スーパーヒーロー映画としてはかなり異色。
シュリ役のレティーシャ・ライトがヒーローには似つかわしくない細身で華奢な体型なところも、「予期していなかった喪失」と「望んでいなかったのにヒーローを継承せざるを得なかった」ことを強調していて悲しい…
シュリは自ら統治したりヒーローになったりするんじゃなく、科学の力で兄の役に立つのが本来の望みだったはずなんだよね…


映画としては素晴らしいと思いつつ、今回のメインのヴィラン、ネイモアと彼が率いる深海の帝国タロカンが、
「かつて白人の侵略者に滅ぼされた原住民」「植民地支配の被支配者」
と重ねて描かれているんだろうな、と思うと、ちょっと複雑な気持ちに……。
むしろワカンダと協力して支配に立ち向かってほしいのに、この2国間で戦争しちゃうんだ…
アクションも美術も音楽もキャラクターも素晴らしい中、上記の一点が本当にモヤモヤ……。
そして争いが終わった後のパートが、撮り方から何からガラッと変わっていて泣けた。

シュリを中心に感想を書いたけれど、ワカンダの人々それぞれが喪失をどう受け止めるかが描かれていて、まさに「ワカンダ・フォーエバー」な映画だったと思う。
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