凛太郎は元柚彦

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーの凛太郎は元柚彦のレビュー・感想・評価

3.0
ルドウィグ・ゴランソンの劇伴ありきの映像というか、音楽と世界観が巧く融合されて成り立っている映画だった。
ただ、この映画を一言でいえば、映像や音楽の見せ方は傑作だが、シナリオの見せ方は凡作。(MCUあるある)
初期作品から追ってるMCUファンの俺が見ても、さすがにそろそろ興味が持てなくなっているのは否めない。
シビルウォーやインフィニティウォーで「正義vs正義」を描くことで善悪を逆転するというテーマを完璧な形で完成させてしまったので、今更未知の王国との〝戦争〟というテーマで「正義vs正義」を持ってきても下位互換にならざるを得ない。これをやるにしても、キャラクター性が薄いので興味がもてない。
ヒーロー映画はヴィランの魅力的なバックボーンありきだと思っているので、このままじゃいよいよメイン以外のMCU作品は結局ちょっと金のかかったスピンオフぐらいのクオリティから抜け出せないのでは…?とMCUの限界を感じてしまった。
肝心の本筋がヒーロー映画としての面白味を全く感じさせてくれないせいで、チャドウィックボーズマンの追悼を込めた演出もあまりノれなかった。ちょっと酷な言い方をすれば、身内ネタの延長線を見せられている感じだ。
とはいえ、映像と音楽の見せ方は一級品。フィルム越しに一つの世界を作り上げるといった映画の醍醐味を存分に味わえた二時間半だった。
マジであとはキャラクター性とシナリオだけ…。ハードルは年々高くなってるから、数十作品をも扱うシリーズ作品における観客の期待値の厄介さを痛感した作品だった。