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カナリアのTOTのレビュー・感想・評価

カナリア(2018年製作の映画)
4.0
とても良かった。
南アフリカで軍の聖歌隊に入った青年が、規律と宗教の重圧に苦しみながらセクシュアリティに向き合う。
恋の喜び、捨てられぬ世界、聖書に隠すアナザーゴッド。
澄んだ歌声とチャーミングなミュージカルシーンに心揺さぶられて、ボーイ・ジョージの偉大さも再確認。
カメラワークが秀逸で、ワンショットワンカットで追いつつもテンポよい編集に引き込まれて尺の長さを感じない。
主人公ヨハンが初めて行ったクラブシーンの見せ方も、鉄板だけど流麗にヨハンの憧れと胸の高鳴りを具現化していた。
南アフリカの小さな町でいじめられながら、孤独にイギリスのニュー・ウェイヴを愛するヨハンが冒頭で踊る曲は、ブロンスキ・ビート「スモールタウン・ボーイ」。
また、最後は「全てのスモールタウンボーイに捧ぐ」と献辞が出て胸が熱くなる。
「スモールタウン・ボーイ」MVではイギリス郊外のゲイの少年がホモフォビック集団に襲われ、家族にもセクシュアリティを理解されず、ロンドンへ発つ。
『BPM』でも象徴的なこの曲の発表は1984年。
そして1985年の南アフリカ『カナリア』でヨハンもまたこの曲に鼓舞されて踊るのだ。
https://youtu.be/88sARuFu-tc
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