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ハスラーズのとぽとぽのレビュー・感想・評価

ハスラーズ(2019年製作の映画)
4.0
Hurt people hurt people... 真理。胃がキリキリするシスターフッドの傑作。『オーシャンズ8』もSATCはじめ皆がNYに抱く幻想も気持ちいいほど打ち砕く、さながら"全員"女性版『グッドフェローズ』・ミーツ・最下層『マネーショート』! ジェイロー(= デニーロ?)ことジェニファー・ロペス姐さんキャリア史上最高の名演技が始終素晴らしいし、彼女演じるラモーナの言葉・セリフ一つ一つの重みがスゴい。それはもちろん実話を基にした脚本の良さもあるけど、いちいち画が引き締まっていて格好良く独自の空気・雰囲気テンポを紡ぐ演出と、製作も兼ねた彼女自身の入魂の演技力&人生経験バックグラウンドに依るもの(そして両者に共通するものは伊達じゃないストリート感覚 ex. カーディ・Bの存在も)。自宅にポールまで置き猛練習に励んだほどで、体は所謂セクシーとかって表現を優に超えるほどバッキバキの筋骨隆々に仕上がりまくりで真の意味で人としてセクシー。背筋エグすぎ体の線太すぎるだろ! 彼女が傑作『アウト・オブ・サイト』以降、役者としてパッとしない出演作ばかりだったけど、本作であの輝きが幻などではなくまだまだ磨けることが証明された。またコンスタンス・ウー( = レイ・リオッタ?)も『クレイジーリッチ』と、本国1億ドル突破の本作でドル箱スターの地位更に強固に。ただゴキゲン&セクシーみたいにポップな作品を期待したら(良い意味で)肩透かしを喰らい、このウーマンパワーに懐持って行かれる!
作品としてもゴージャスやスキャンダラスという以上に骨太で、痛快爽快というより最後は胸締め付けられて切なくもなる。リーマンショック後を主に描きながら、そこに格差社会からの最下層=移民の変遷、母親という存在(デスティニー ≒ ラモーナ)まで込めしまう。正直オーディエンスフレンドリー抜群な作品ではないけど、例えば本作の製作に名を連ねているアダム・マッケイ(&ウィル・フェレル)監督『マネー・ショート』が届いた人にはハマるはずの傑作だ。時に居心地悪くもなったけど、それでもなお前のめりに見入ってしまったし、言うなら傷跡はまだジンジンズキズキ疼くのについつい触ってしまって気づけば抉っているような。だから気分が沈む瞬間もあるし、鑑賞後の余韻のまま今の社会を憂う事になるかもしれないが、だからこそ良いし見る価値がある。世の中を見据えて革新を突き刺してくる強烈な一打を見事にエンターテイメントとして昇華している、言うなら警鐘促す社会派エンタメ。ジェイローの言葉は最後の最後まで響く。そんなジェイローの尽力あってかサウンドトラックもこれまた豪華で、個人的には好きなロードの代表曲で出自を歌ったRoyalsが流れるタイミングが完璧だった。
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