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ルース・エドガーのjonajonaのレビュー・感想・評価

ルース・エドガー(2019年製作の映画)
5.0
何かを常に演じる僕らのしがらみについて

こういうの超好き。学校で教師生徒の誰もが認める優等生ルースエドガー、ある一人の教師が彼の作文の内容に危機感を覚えた事から波紋して、彼の養父母は彼の二面性を疑い始める。果たして彼は善良な模範的生徒か?それとも周囲を欺く悪魔なのか?というはなし。

めっちゃ複雑なテーマを内包してて正直決して後味がいい作品ではないんだけど、見てる間ずっとヒリヒリしてる。
主にお母さんが主役で、彼女に感情移入しながらルース!おまえどっち!?どっち!?って心がざわつく。お母さん主役だけど一見血の繋がらないルースに興味の無い無いクソ親父のようなティムロスがいい味出してる。あのアジア系女の子の出所も含めてまじでこの監督はいじわる。最高。

彼ら家族のバックグラウンド、またルースに猜疑心を抱く黒人先生のバックグラウンドを小出しにしてくる情報整理のうまさが際立ってた。ちょっとこちらがキャラの真意を理解できない言動をヒキの客観的視点から入れてきたり、『どっちとも取れる』描写の挟み込み方が的確。見事にドライブさせられる。
彼が母親に言う『どうせ読んでないんでしょ?』という一言にもとてつも無い重みがあって考えさせられた。
本当にこの監督性格悪くて最高だなと思ったのが、キーマンになるルースの元恋人のアジア系女優さんの配役。会話中のナオミワッツの反応も含めて、あれは最悪に意地悪。でもアメリカのバイアスを非常に上手く突いてる。

ネタバレになるのであとはコメント欄に書き殴るとして素晴らしい映画でした。
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