レッドキング

ルース・エドガーのレッドキングのレビュー・感想・評価

ルース・エドガー(2019年製作の映画)
3.6
文武両道、絵に描いたような優等生で誰からも慕われている高校生ルース・エドガー。
過酷な出自でありながらも、白人夫婦の養子として迎え入れられ幸せな生活を送っていたが
学校でのある出来ごとをきっかけに、彼を取り巻く環境に亀裂が生じる。

人種問題・偏見・ステレオタイプ・プレッシャー・家族・夫婦・親と子…。
色んなテーマがぎっしり詰まった、とても考えさせられる本作。
とりわけ人種問題は、白人黒人間の問題だけでなく、黒人同士でも能力や立場・振る舞いによって軋轢が生まれるという構図。

どの年代の人にも、少なからず何か一つ当てはまる要素があると思います。
若い人や「できる子」はルースに、パパママ世代はエドガー夫妻に、マイノリティはウィルソンやDに。
登場人物の誰かしらに自分を重ねて、常に「あなたならどうする?」と問いかけられているようでした。
真相が明確に説明されていないところもいいですね。

登場人物の誰もが完璧ではなく、何かちょっぴり欠けている感じがいい。
いい意味で誰もが「人間らしい」し、不完全な自分で生きていかなくてはいけない。
そんな諸々の感情が、ラストのルースの表情に表れていたと思います。
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