圧政で難民問題抱えるエストリアから少年を養子として受け入れたアメリカ人夫妻で、ルースと名付けた彼が文武両道の立派な成績を誇る高校生に育ったことを喜ぶエドガー夫妻。ところが女性教師ハリエットから危険思想の傾向を告げられて困惑するふたりが、徐々に見え隠れする不審な行動に疑心暗鬼になる様を描いたサスペンス映画です。
ナイジェリア生まれで外交官の父に連れられて各国を渡り歩いた後に双子の弟と映画の道を歩み出したジュリアス・オナーがJ・C・リーの同名戯曲を映画化した2019年公開作品で、サンダンス映画祭で世界プレミア上映されるとナオミ・ワッツやティム・ロスにオクタヴィア・スペンサーら実力派が支える物語が批評家からの称賛を集めました。
マイノリティが迎合のために自らを強制する「リスペクタビリティ・ポリティックス」をテーマにした作品で、複雑な背景を持つ養子の少年を通して社会の歪みを説きます。とはいえ教育においては大なり小なり誰もが抱える題材であり些か強引に社会問題化してるきらいはありますが、実力派の流石の演技でサスペンスを盛り上げる一作です。