ノラネコの呑んで観るシネマ

ルース・エドガーのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ルース・エドガー(2019年製作の映画)
4.5
オンライン試写にて。
紛争地エリトリアから子供を養子にとってから10年。
“光”を意味する”ルース”と名付けられた子は文武両道に優れ学園のヒーローとなるが、ある時両親は歴史教師から思わぬことを告げられる。
教師はルースの書いたレポートを読み、過激思想の持ち主ではないかと疑ったのだ。
元少年兵という過去を消し去ろうとしてきた両親は、徐々に自慢の息子に対する愛と疑心暗鬼との間で揺れ始める。
これはアメリカという”箱”に閉塞し、光を求めて足掻く人々の物語だ。
全く異なる文化から来たルース。
自分の人生の多くを犠牲にして彼を引き取り、言語も名前も異なる新しい生を歩ませた両親。
そしてマイノリティの悲劇を知る歴史教師ゆえ、ルースにある役割を押し付けて敵対する教師もまた、箱の中で光を求めている。
本作にはタイトルロールのルースも含めて、特別な人物はいない。
しかしだからこそ、丁寧に作り込まれた登場人物の、隠された内面を読み解く様なミステリアスな面白さがある。
誰も他人の本当の心は分からない。
教師役のオクタヴィア・スペンサーが素晴らしい。
見応えある心理劇だ。
ブログ記事:
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