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彼女は夢で踊るのkeittyのレビュー・感想・評価

彼女は夢で踊る(2019年製作の映画)
5.0
自分を解放して音楽に乗せて表現できたらどれだけ気持ちいいだろう。

広島の今はなきストリップ劇場を舞台にしたストーリー。
偏見を持たずに観てほしいし、いい意味で裸で踊り出したくなる作品。同時に、自分が人生をかけて愛したものが消えていく瞬間に立ち会う儚さも体感できる。

「裸で踊って馬鹿みたい。私はただ踊るのが好きで踊っていたいだけ」と語った彼女が浜辺で踊り出すシーンが神々しくて、馬鹿だと思われても自分が自分でいられる方法で生きていく強い意志と、そういう生き方しかできないという情動が感じられた。

「夢を演じる。観客はそれぞれの夢を観る。お化粧をしたら別の自分になる」に対し、きんちゃんのセリフ「ストリッパーの女を落とすには、男が優しく服を脱がしてあげる」がアンサーになってて、心の鎧を解けって遠回しに言ってて好き。

「唇には思い出があるのよ」もすごく好きなセリフで、色んな思いを抱えながらも劇場という場所を愛する気持ちを込めて、ダンサーさん達が壁にキスをするっていう歴史が詰まっていて、無生物愛の真骨頂だと感じた。

恋は永遠のMVで初めてストリップというものの存在を知り、そこで純粋に綺麗だなと思った矢沢ようこさんが、新宿ニューアートにてこの作品の曲を踊っていて、めちゃくちゃ美しくて感動した。作品とご本人に同時期に会えていい体験ができた。

松山千春の「恋」も、レディオヘッドの「Creep」もかなりいい。EDで踊り出すのも最高。
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