CharlieZG

ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコのCharlieZGのレビュー・感想・評価

3.7
猫の絵で有名なルイス・ウェインの愛と苦しみの生涯を描く。

妻エミリーがいたからこそ擬人化され愉快な猫のイラストが生まれたことから、ルイスにとって猫画を描く行為は潜在的に妻への語りかけだったに違いない。
つまりこの物語は愛情を一途に貫いたルイスの微笑ましくも切ないラブストーリーだ。
絵画のような淡い映像、特に池のほとりに腰掛けるシーンの何と美しいこと、ウットリと眺めた。

一方、原題「The Electrical Life of Luis Wain」にあるようにルイスは電気に多大な関心を持っていて、劇中でも事あるごとに電気の可能性を説いていた。特許出願までやろうとしたそうだが実現はしていない。
結果的に猫のイラストレーターとして有名になってしまったけど、ルイス本人は他の事で身を立てようと考えていたのではないか?
冒頭の列車の中で犬の絵を描く時に“タダでいい”と言ったようにルイスにとって絵は遊び感覚だったのかも、だから絵で稼いでやろうという野心もなく版権にも興味がなかったのでは。
あのスピードで描けるんだから絵がお金になるなんて考えもしなかったのでしょう。だからウィリアム卿が的確なアドバイスをしてやればいいのに、なぜそれをしなかったのか疑問に思う。

後半少し駆け足感があったけど名声に反して不運な人生が悲しく映った。

それからサントラが面白い。
管弦楽にテルミンやメロトロンやトラウトニウムなどのレトロな電子楽器をミックスし、電気に関心のあったルイスのイメージを表現していてユニークだった。

そして何と言ってもカンバーバッチの演技力には拍手。癖の強い人物をやらせると見事にハマってしまうから不思議。
吹き替えなしで挑んだ描画も素晴らしかった。
エンディングのキャストスーパーに“オリヴィア・コールマン”と出て来て驚いた!
どこにいたか一所懸命に思い返したけど分からず、パンフレットを見て“あっ!そうか!”
ネタバレに近いから言わない(笑)

幸せな時間って一瞬だけどそれが心の中にあるから生きて行けるんだなと思えた作品。
美しくて良かった。


監督 ウィル・シャープ

キャスト
ベネディクト・カンバーバッチ
クレア・フォイ
アンドレア・ライズボロー
トビー・ジョーンズ
シャロン・ルーニー
エイミー・ルー・ウッド
ヘイリー・スクワイアーズ
ステイシー・マーティン
フィービー・ニコルズ
タイカ・ワイティティ
ニック・ケイヴ
オリヴィア・コールマン
CharlieZG

CharlieZG