もの語りたがり屋

hisのもの語りたがり屋のレビュー・感想・評価

his(2020年製作の映画)
3.7
現代社会における恋愛と家族のあり方を問う作品

これはただのゲイ映画ではない。

同性愛者への差別問題だけでなく、仕事と家庭の両立や核家族での育児、都会と田舎暮らしの現実など、現代を生きていくうえでぶちあたる様々なテーマが織り込まれている。
それでいて重くなり過ぎず、同性愛と家族を持つことの間で揺れながら親権裁判を行なっていくストーリーで見事に紡いでいる。

同時に、保守的な考えやしがらみが強い田舎だけど、よそ者を受け入れていくこれからの多様性の社会も描いている。

今泉力哉監督は絶妙に絡み合う恋愛人間関係を描くのが巧みである。