めしいらず

スミス都へ行くのめしいらずのレビュー・感想・評価

スミス都へ行く(1939年製作の映画)
2.9
青臭いまでに清廉潔白な主人公スミスが、裏にある政治的意図のことなど露知らぬまま上院議員に引き立てられるけれど、父の盟友で尊敬する先輩議員ペインが働いている公共事業にまつわる不正を知り、議会の場で対決することになる。議会の規則に暗い彼はペインの老獪なやり口と彼を裏で操る権力者テイラーのネガティブキャンペーンとマスコミへの圧力によって見る間に議会追放の窮地に陥ってしまう。スミスはゲティスバーグ演説の理念とかけ離れすっかり爛れてしまったいまの政治に落胆し一度は故郷に帰ろうとするけれど、濁りない彼の政治姿勢に打たれた秘書サンダースの手助けを得て再び議会に現れ、今度は議会の規則を逆手に取り丸一日に及ぶ大演説を打つ。遂に倒れ失神してまで演説をやめようとしないスミスの姿に心打たれたペインは、かつての理念を取り戻し自身とテイラーの不正を告白するのだった。あまりに理想主義的で鼻白むところがないではないが、そんな主人公像を観る者に信じさせるだけの誠実なイメージがジェームズ・スチュワートにはある。彼ありきの映画だと思う。最後ギリギリのペインの変節が些か都合良く見えないこともない。
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