藻尾井逞育

悲しみより、もっと悲しい物語の藻尾井逞育のレビュー・感想・評価

4.0
「太陽なんて羨ましくない。君の過去までは照らせないから。僕たちは同じように影を抱えている」
「愛を言葉で説明できるなら、誰も苦しまない」
「孤独に慣れることが、悲しみよりももっと悲しいことだ」

新曲のレコーディングに不満をもっているA-Lin。帰宅途中に運転手が聴かせてくれた未発表のデモ曲に心奪われる。歌っている音楽プロデューサーのKと作詞のクリーム、2人を知る人に会いに行ったA-Linはこの曲に秘められた悲しい物語を知ることになる。

最初は難病純愛お涙頂戴物で、こんなもんかなって思っていました。さらに、2人に利用されて振り回される歯医者さんや無理難題を要求する写真家さんを見て、むしろ嫌な気持ちにすらなっていました。ところが後半、もう一つの物語が始まると、キュンと胸が締め付けられました⁉︎相手を思うがための嘘、とても切なくなります。結婚式でKの手をなかなか離さないクリーム、痛いほど気持ちが伝わりました。ただ最後はまさかとは思ったそのまさかで、ちょっと悲しすぎます。永遠ではなく来世という言葉にこだわっていたのもこんな伏線があったんですね。でも、全てを知った上で最後に2人を一緒にしてくれた歯医者さん、個展を開き2人のことを本当に理解してくれた写真家さん、この2人も本当の意味での愛を理解することになりみんな良かったのかな。

2024/04/03
台湾加油!