える

シン・ウルトラマンのえるのネタバレレビュー・内容・結末

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

ずっと待ってた!これはたぶんオタク向けの映画

正直、『シン・ゴジラ』の期待感で観るとちょっと物足りない。ゴジラは目的も行動原理も謎だったのが妄想の余地があって老若男女の鑑賞に耐える面白さだったのが、ウルトラマンはどうしても人間の味方をするというお約束があるのでストーリーに厚みが出なかったように思う。ウルトラマンを知らない人間からすると、なんかいろんな怪獣出て来て、宇宙人出て来て、なんかでっかい機械を倒して、終わった…という吉野家の味噌汁ぐらい薄っすい映画に感じてしまう恐れすらある。それには訳があるように僕は思う。

僕はいわゆるウルトラマンティガ世代で、物心つくかつかないかの時からウルトラマンを熱心に履修してきたのでわかる。この映画の本当のタイトルは『シン・解釈!あの怪獣たちの裏設定図鑑!』である。それ以上でも以下でもない。このストーリーは原作『ウルトラマン』が39話かけて辿ったストーリーを2時間でなぞっただけに過ぎない。つまり「視聴者はもうストーリー知ってるでしょ?それより俺(庵野)が考えたこの怪獣とかウルトラマンとかの裏設定(あるいは新解釈)見てよ!」という作り手がウルトラマンが好きすぎるあまりの弊害である。ゆえに、ストーリーを知らない一般人が観ても、意味深なストーリーを期待する人が観てもあんまり楽しめない。根幹たるストーリーは当然知ってて、むしろ枝葉末節に過ぎない、ウルトラマンとは、あの怪獣とは、に対する庵野の回答を見て、なるほどね〜となるオタクだけが、この映画を十全に楽しめたと言えるだろう。

総評すると、オタク向け映像作品としては、最後のゼットンの解釈や、謎の宇宙人ゾーフィに再びスポットライトを当てたところだけ取っても、庵野わかってるね〜って4.2点ぐらいあげたい。
ただ、映画としてフラットな目線で見ると、正直どこが面白かったんだろう…と不安になったのもまた事実なので間を取ってこれぐらい。
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