「全編ワンカット」という触れ込みでしたが実際はワンカットの映像を繋ぎ合わせた
ものだということで、聞いた時はちょっとガッカリしたんです。でも、その「ワンカット」こそが没入感を圧倒的に深めます。
主人公は2人の英軍兵士、スコフィールドとブレイク。攻撃中止命令を前線の部隊（ブレイクの兄もいる）に届けるために走ります。走る中で起こる出来事を描いた映画です。
観客の我々はカメラを通してこの映画を見るわけですが、常に主人公達と同じ目線を走ります。さらに基本的にワンカットなので、傍らに常に死がある緊迫感を追体験する事になります。これが主人公達への感情移入を深めたので、技術面だけではないワンカット撮影の新たな魅力を知りました。
あるシーンで画面の片隅に見える一輪の花。貴重な酒をくれる友軍兵士。廃墟と化した街の人。そのどれもが、地獄の中にある人間性、美しさを見せてくれました。
最後はもう祈る気持ちでした。頼むから会わせてやってくれと。
傍らに常に死がある緊迫感は、音も大きな貢献をしてます。できれば音響の良い映画館で観てほしいと思います。
