デッカー丼

1917 命をかけた伝令のデッカー丼のレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.4


大好きなブレードランナー2049も撮影はロジャーディーキンスなんだけど、ストーリーとキャラクターに深みを与える撮り方をするというか。バカっぽい言い方をすれば極上って感じの画になるんですよね。もちろん今回ワンカットライクで撮ったことが世間的には話題に放ってると思うけど、随所に見れるロジャーディーキンスのスキルが評価されるべきだと思うんね。主人公が狙撃されかけるときの弾に当たるかもしれないひやひや感を至近距離で撮ることで見る側にも感じ取れたし、計算された光の屈折が美しい滅びた町を走って逃げるときも縦横無尽に動き回って先回りとかして、いつ敵が思わぬところから出てくるかとひやひやしたし、特にヤバかったのはやっぱり最後の特攻全力縦ダッシュで主人公が伝令>命になった捨て身の走りを追わせる撮り方したところね。横からも撮れただろうし上からでも撮れたはずだけど、あえて追わせて本気度を見せつけたところね。朝の通勤ラッシュで新橋のJR烏森口から大量のサラリーマンが流れ出てくるところをちょっきろうとするとあのシーンが毎回思い浮かぶよね。俺は仕事<命だけど。
どんなにいい話でもカメラワークで0点にも100点にもなるので、ワンカットうんぬんよりもロジャーディーキンスを採用したことが今回の1917最大の英断だったかと。
やっぱり展開とかスムーズな立ち回りはリハーサルに時間をかけたのもわかるし、一方でリハーサルを重ねたにもかかわらず俳優陣がほんとに今目の前の戦争を味わっているかのような演技を見せたのも素晴らしいと思います。
プライベートライアンとかフルメタルジャケットとか、地獄の黙示録とかこれまで戦争は狂ってて常識が通用しなくて疲弊して頭もおかしくなるしヤバいところだってのをグロとか人間描写で存分に見せてきたけど、1917はそれと全く違う再度から再構築をしていて、ヤバさを見せつけるのではなくヤバくなっていく状況を経験させる映画でした。それを実現させるためにはワンカットはすごく効果的だしグロとか奇想天外な事件とかがないのもリアルで完成された作品だったと思う。ただ欠点として家の環境ではその伝えたいことは100パーセント伝えきれないのでぜひとも劇場で見ていただきたい。
塹壕で犬飼うのありなんですね。おとなしいジャックラッセルテリアでした。
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