ジャケ写の俳優が好みの雰囲気で勝手にクライム作品と思い込んで借りたけど全然違った。
アメリカの作家ジャック・ロンドンの自伝的小説をベースにイタリアを舞台に映画化した作品。
貧しい生まれのマーティンは裕福な上流階級の娘エレナに恋をし、文学に目覚め作家を目指す物語。エレナに近づきたいあまり、独学で勉強し、何度もめげずに出版社に原稿を送る。その情熱が青春そのものだった。
やっと夢を叶え成功し、裕福となっても満たされず、まるで別人のようになってしまったマーティン。成功前には突き放したくせに、成功したら会いに来たエレナを愛せるはずもなく。
夢に向かっていた貧しい日々は幸せだった。成功したところで汚れた世の中は変わらず、自分の理想はあまりにも世の中とかけ離れていた。金があっても心が満たされなければ意味が無い。生きる価値など見いだせようか。
いきなり成功後の映像に変わるので面食らったが、主役を演じたルカ・マリネッリの変貌ぶりがうまかった。ヴェネツィア国際映画祭で男優賞を獲得している。
時々挟まれるドキュメンタリーのようなノスタルジックな映像がアクセントになっていてよかった。
社会主義への反感や格差社会、戦争の到来など、イタリアの時代背景も描かれていて見応えのある作品だった。